
アーバンサイクラー・イメージ
こんにちは、アーバンサイクラー、運営者の「サイクル太郎」です。
最近は、一台のロードバイクでレースからロングライドまでこなしたいという方が増えていますね。
特に空気抵抗を抑えたエアロロードを所有していると、タイムトライアル(TT)やトライアスロンにも挑戦してみたいと考えるのは自然な流れかなと思います。
ただ、実際にエアロロードのTT化を調べ始めると、ポジションの出し方やパーツの互換性、改造にかかる費用など、意外とハードルが高いことに気づいて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、私が個人的に調べたり試行錯誤したりした経験をもとに、無理なく、そして安全に愛車をアップデートするためのポイントをまとめてみました。
専門家ではありませんが、同じ悩みを持つサイクリストの一人として、皆さんの機材選びや設定の参考になれば嬉しいです。

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この記事で分かること
- エアロロードをTT仕様に変えるためのポジション作りの基本
- DHバーや専用サドルなど、失敗しないための機材選びのコツ
- 電動変速Di2の互換性や105グレードでの注意点
- ショップに依頼した場合の工賃やパーツ代の目安
エアロロードのTT化を成功させる機材選びと理論
エアロロードをタイムトライアル仕様(TT化)にする際、単にパーツを付け足すだけでは十分な効果が得られないことがあります。
むしろ、無理な姿勢で走ることでパフォーマンスが落ちてしまうこともあるんですよね。
ここでは、効率よく走るための理論と、それを支える機材の選び方について、私が学んだ内容を深く掘り下げてシェアします。
前乗りに適したポジションの調整方法
TT化において最も重要と言っても過言ではないのが、「ポジショニングの変換」です。
実は、単にDHバーを付けて上体を伏せるだけでは不十分なんです。通常のロードバイクは、上体を起こした状態での快適性や登坂時の筋肉の使いやすさを考え、サドルがBB(ボトムブラケット)よりも後方に位置する「後ろ乗り」の設計になっています。
しかし、この姿勢のまま深く上体を倒すと、太ももとお腹がぶつかってしまう「股関節の詰まり」が発生してしまいます。
これを解決するのが「前乗り」です。
サドルを物理的に前進させることで、骨盤を前傾させても股関節の角度を広く保つことができます。
これにより、深いエアロポジションを維持しながらも、スムーズにペダリングを続け、有酸素運動に必要な呼吸を楽に保つことができるようになるんです。
もし、ハンドルだけを遠く、低くしてしまうと、腰に大きな負担がかかるだけでなく、横隔膜が圧迫されて酸素摂取量が低下してしまうので注意が必要ですね。
理想は、骨盤がしっかりとBBの真上、あるいはそれよりも前に位置するような感覚です。

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また、前乗りにすることで大臀筋(お尻の筋肉)を使いやすくなるメリットもあります。
トライアスロンを目指している方なら、このポジション調整がバイク後のランニングへの脚の残り具合に直結してくるので、非常にシビアに考えたいポイントかなと思います。
私自身も最初は適当にサドルを前に出すだけでしたが、数ミリの差でペダリングの軽さが劇的に変わるのを実感しました。
まずは自分の現在のサドル位置を記録した上で、少しずつ「仮想シートアングル」を急にする方向で調整してみるのがおすすめです。
ポジション調整を成功させる3つのポイント
- サドルを前方へ移動させ、股関節の自由度(ヒップアングル)を確保する
- ハンドル高さを下げすぎず、肘を置いた時にリラックスできる位置を探す
- 前輪荷重が増えるため、体幹で姿勢を支える意識を持つ
おすすめのDHバーと取り付け時の注意点
空力性能を劇的に変えてくれるのが、ハンドルに取り付ける「DHバー(クリップオンバー)」です。
これを使うことで、前面投影面積を最小化し、時速30km以上での巡航が驚くほど楽になります。
プロファイルデザインやシマノPROなど、多くのメーカーから製品が出ていますが、初心者の方が選ぶ際は「調整の自由度」が極めて高いモデルを強く推奨します。
具体的には、パッドの幅、高さ(スタック)、前後の長さ(リーチ)が独立して細かく変えられるタイプが理想的ですね。
取り付け時に絶対に無視できないのが、ハンドルバーの素材とクランプ径の適合です。
特に軽量なカーボンハンドルを使用している場合、DHバーをクランプする局所的な力に耐えられず、走行中にハンドルが破断するという最悪の事故を招く恐れがあります。
多くのカーボンハンドルメーカーはDHバーの装着を禁止しているか、特定の強化エリアのみを許可しています。
自分のハンドルが「クリップオンバー対応」かどうか、必ずメーカーの公式マニュアルで確認してくださいね。
もし非対応であれば、安全のために強度の高いアルミ製のドロップハンドルに交換することを検討してください。
さらに、アルミハンドルであっても、クランプ部のボルト締め付けにはトルクレンチの使用が必須です。
規定値以上の力で締めると、目に見えないクラック(亀裂)が入り、段差などの衝撃で突然ハンドルが折れる危険性があります。

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私としては、安全に関わるこのパーツ選びと取り付けこそ、最も慎重に行うべきステップだと考えています。
不安な場合は、パーツの持ち込みが可能かどうかを含め、プロのショップに相談するのが一番確実ですよ。
仮想シートアングルを変えるシートポストの役割
ロードバイクのフレーム設計は、一般的にシートアングルが73度から74度前後になっています。
しかし、本格的なTTバイクは78度から80度以上に設定されているんです。
この5度以上の差を埋めるために不可欠なのが、「シートポストによる補正」です。
標準のシートポストのままサドルを前に出そうとしても、レールの調整幅には限界があり、レールの端に負荷が集中して破損するリスクもあります。
そこで役立つのが、オフセットがゼロ(真っ直ぐ)なタイプや、逆に前方へ突き出した形状のシートポストです。
例えば、Redshift Sportsの「Dual-Position Seatpost」のような製品を使えば、走行中にサドル位置をロード用とTT用の二段階で切り替えることができ、一台二役を完璧にこなせるようになります。
また、メリダの「リアクト」などの一部のエアロロードでは、純正のシートポストを180度反転させることで、TTポジションに最適化できる便利な設計になっているものもあります。
自分の愛車にそうした隠れた機能がないか、一度チェックしてみる価値は十分にありますよ。
ただし、専用形状のシートポストを採用している最近のエアロロード(D型断面など)は、汎用品が使えないことが多いのが悩みどころです。
その場合は、サドルレールの長いモデルを選んで前方にセットするなどの工夫が必要になります。
いずれにせよ、サドルを前に出すことはTT化の「基礎」となる部分なので、妥協せずに自分に合った解決策を見つけていきましょう。
会陰部の痛みを防ぐTT専用サドルの選び方
前乗りポジションを長時間維持しようとすると、避けて通れないのが「股間の痛み」です。
通常のロード用サドルで深く前傾すると、サドルの細い先端(ノーズ)が会陰部の神経や血管を圧迫し、痺れや激しい痛みを引き起こします。
これを我慢して走り続けると、健康面での悪影響も心配ですよね。
私自身も、初めてDHバーを試した時は15分も経たずに痛みに耐えられなくなった記憶があります。
この問題を一気に解決するのが、「ノーズレスサドル」や「ショートノーズサドル」です。
特にトライアスロン界で有名な「ISM」のようなサドルは、先端が完全に二股に分かれており、デリケートな部分を中空に浮かせるように座る設計になっています。
これにより、どれだけ深く前傾しても圧迫が発生しません。
他にも、スペシャライズドの「Sitero」やプロロゴの「Dimension Tri」など、前乗り時のサポートを強化したモデルが各社から展開されています。
これらのサドルは独特の形状をしているため、最初は座り方に戸惑うかもしれませんが、一度慣れてしまえば「これなしではTTポジションは無理!」と思えるほど快適です。
サドル選びは「沼」と呼ばれるほど奥が深いですが、TT化においては通常のサドルよりもさらにシビアな相性が求められます。
できればテストサドルを貸し出しているショップで、実際にDHバーを握った状態で試乗させてもらうのが、失敗しないための近道かなと思います。

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ロードバイクとTTバイクのジオメトリの違い
エアロロードをTT化する上で理解しておきたいのが、フレーム自体のジオメトリ(幾何学構造)の決定的な違いです。
専用のTTバイクは、直進安定性を極限まで高めるために、フロントセンター(BBから前輪軸までの距離)を長くし、キャスター角を調整してホイールベースを長めに設計しています。
これに対し、ロードバイクは集団内での機敏な動きやコーナーでの反応を重視しているため、ホイールベースが短く、ハンドリングがクイックに設定されています。
ロードバイクを極端な前乗りにカスタムすると、重心が設計想定よりもかなり前輪側へ移動します。
その結果、DHバーを握って高速巡航している際に、ハンドリングが非常に敏感(あるいは不安定)になる傾向があるんです。
特に横風を受けた時や、路面の凹凸でハンドルを取られそうになった時の挙動は、通常のブラケットを握っている時とは全く別物だと考えてください。
直進しようとしているのに、常に細かな修正舵が必要になることもあります。
こうした特性の違いを理解せずに、「機材さえ付ければTTバイクと同じになる」と考えるのは少し危険です。
エアロロードのTT化は、あくまで「ロードバイクの枠組みの中でTT性能を引き出す」試みです。
まずは交通量のない安全な平坦路で、どれくらい重心が前に寄っているか、ハンドリングにどんな癖が出ているかを体に覚え込ませることが大切です。
機材の進化で性能は近づけられますが、最後はライダーの技術と習熟が安全を担保することを忘れないでくださいね。
エアロロードのTT化にかかる費用と互換性
機材の理想が固まったら、次は現実的なコストや、自分のバイクにパーツが物理的に付くかどうかの互換性をチェックしていきましょう。
ここはかなり複雑なパズルのような部分なので、一つずつ紐解いていきますね。
一体型ハンドルにDHバーを装着する解決策
近年のハイエンドなエアロロードに多く採用されている「ステム一体型カーボンハンドル」は、空力と見た目の美しさでは最強ですが、TT化においては最大の障壁となります。
多くのモデルは断面が翼のような扁平形状をしており、丸いクランプを持つ一般的なDHバーを固定することができません。
もし無理に取り付けようとすれば、高価なハンドルをバキッと割ってしまうリスクがあります。
この問題に対する現実的な解決策は主に3つあります。
1. メーカー純正の専用アダプターを使用する
ジャイアントのプロペルやキャニオンのエアロードなど、一部の車種には専用のDHバークランプがオプションとして用意されています。
純正品であれば強度の面でも安心ですし、デザインも統合されているので、まずはこれを探すのが第一歩です。
2. サードパーティ製の特殊マウントを探す
REC MOUNT(レックマウント)などのブランドが、特定の一体型ハンドル向けにメーター取付穴を利用したブリッジ状のパーツを出すことがあります。
ただし、耐荷重や剛性に制限がある場合が多いので注意が必要です。
3. ハンドル周りを汎用品に総入れ替えする
最も確実ですが最も費用がかかる方法です。
一体型ハンドルを諦め、通常のステムと31.8mm径のアルミハンドルに交換します。
これにより、市場にあるほぼ全てのDHバーが装着可能になります。
ただし、ケーブルがフル内装されているモデルでは、この交換作業だけで数万円の工賃とパーツ代がかかることも珍しくありません。
このように、一体型ハンドルのTT化は一筋縄ではいかないことが多いです。
パーツを購入する前に、自分のバイクのハンドル形状と、それに適合するアダプターの有無を徹底的に調査することをおすすめします。
105のDi2でスイッチ増設が難しい理由と対策
電動変速(Di2)を搭載している場合、DHバーを握ったまま親指一つで変速できる「サテライトシフター」は、TT化の醍醐味とも言えるカスタムです。
しかし、ここで大きな壁となるのが、シマノの12速Di2におけるグレード間の差別化です。
実は、現行の105 Di2(R7100シリーズ)のレバーには、サテライトシフターを接続するためのポートが一つも備わっていないんです。
上位グレードのアルテグラやデュラエースには、スイッチを繋ぐための専用ポートが用意されているのですが、105はコストカットと差別化のためにここが排除されています。
つまり、105 Di2を使っている場合、純正のままではDHバーに変速スイッチを追加することは物理的に不可能です。
これを解決するには、STIレバー自体をアルテグラ(ST-R8170)以上に買い替える必要があり、これだけで左右で約6〜8万円ほどの追加費用が発生してしまいます。
これは「105はコスパが良い」という常識を覆すほどの痛い出費ですよね。
一方で、SRAM(スラム)の無線変速システム「eTap AXS」を採用している場合は、話がもっとシンプルになります。
「Wireless Blips」というボタンをDHバーにテープで貼るだけで、どこにでも変速スイッチを増設できます。
ケーブルの長さやポートの有無に悩まされることがないため、これからTT化を前提にバイクを組むなら、SRAMは非常に賢い選択肢になるかなと思います。

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自分のコンポーネントがDi2なら、まずはレバーのポートの有無をチェックしてみてください。
改造に必要なパーツ代や工賃などの費用目安
実際にエアロロードをTT化する際に、いくら財布からお金が出ていくのかをシミュレーションしてみましょう。
パーツを中古で揃えるか新品か、自分で組むかショップに頼むかで大きく変わりますが、一般的な目安をまとめてみました。
| 項目 | ミニマムプラン(お試し) | ミドルプラン(実戦向け) | フルカスタム(妥協なし) |
|---|---|---|---|
| DHバー | 約1.5万円(アルミ) | 約2.5万円(調整幅広め) | 約4万円(カーボン/高機能) |
| サドル | 純正を調整(0円) | 約2.5万円(ISM等) | 約3.5万円(軽量TT用) |
| シートポスト | そのまま(0円) | 約1.5万円(オフセットゼロ) | 約2.5万円(Redshift等) |
| 変速スイッチ | なし(0円) | なし(0円) | 約2万円〜(+レバー交換代) |
| ショップ工賃 | 0円(自分作業) | 約1.5万円(基本調整) | 約3万円〜(内装・配線込) |
| 合計目安 | 約1.5万円〜 | 約8万円〜 | 約15万円〜20万円 |

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ここで重要なのは、「どこで妥協するか」です。105 Di2を使っていてレバーまで交換すると、あっという間に20万円近くまで跳ね上がります。
こうなると、中古の型落ちTTバイクをもう一台買った方が安上がり、なんていう逆転現象も起きてしまいます。
自分の目標とするレースや予算に合わせて、まずはミニマムプランから始めて、必要に応じて追加していくのが失敗しない賢いやり方かなと思います。
トライアスロンの競技ルールと安全性の確保
機材が整ったとしても、出場する大会のルールに違反していれば失格になってしまいます。
特に注意が必要なのが、トライアスロンにおける「ドラフティング(他者の背後について風除けにする行為)」に関するルールです。
実は、ドラフティングが許可されているエリートや一部のスプリントレースでは、ハンドルの先端(STIレバーの最前端)を越える長さのDHバーの使用が禁止されています。
この場合、非常に短い「ショートバー」しか使えないため、いわゆる本格的なTTポジションをとることはできません。
一方、私たちが多く参加するエイジグループのロングやミドルの大会、あるいはタイムトライアル競技では、ドラフティングが禁止されており、長いDHバーの使用が許可されています。

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このように、レースの形式によって必要な機材がガラリと変わるため、事前に大会の公式規定を確認することが絶対に欠かせません。
例えば、日本トライアスロン連合(JTU)の競技規則は毎年のように更新されるため、最新の情報をチェックしておく習慣をつけましょう(出典:日本トライアスロン連合『競技規則・規程』)。
また、走行中の安全性についても再確認が必要です。DHバーを握っている間は、ブレーキレバーに指がかかっていない無防備な状態です。
時速40kmで走行中、ブラケットに手を戻してブレーキをかけるまでの1秒の遅れは、約11メートルの空走距離を生みます。

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見通しの悪い交差点、下り坂、そして何より他のサイクリストや歩行者がいる場所では、絶対にDHポジションをとらないようにしてください。
TT化は「速さ」のためのカスタムですが、それは「安全」が確保されたクローズドな環境、あるいは十分な注意が払える場所が大前提です。
エアロロードのTT化で理想の走りを実現する方法
最後にまとめとなりますが、エアロロードのTT化は、適切な知識と準備さえあれば、愛車のポテンシャルを何倍にも引き出してくれる最高のカスタマイズです。
専用のTTバイクを所有する喜びも大きいですが、慣れ親しんだエアロロードを自分なりに試行錯誤してアップデートし、タイムを縮めていく過程には、また別の格別な楽しさがありますよね。
今回ご紹介したように、大切なのは「ただパーツを付けるだけ」で終わらせないことです。
- 股関節の角度を意識した前乗りのポジショニング
- ハンドルやコンポーネントの確実な互換性の確認
- 予算と効果のバランスを見極めたパーツ構成の選定
この3点を軸にして計画を立ててみてください。最初は違和感があるかもしれませんが、ミリ単位の調整を繰り返して「バチッ」とポジションが決まった時の、風を切って突き進む感覚は本当に病みつきになりますよ。
もちろん、自分一人ですべてを完璧にするのは難しいこともあります。
パーツの適合やトルク管理、Di2の配線などは、迷わずプロのメカニックさんの知恵を借りてください。その上で、自分だけの「最強のワンバイク・ソリューション」を作り上げていきましょう。
皆さんのバイクライフが、このTT化を通じてより豊かで刺激的なものになることを心から願っています!

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サイクル太郎の最終チェックリスト
- カーボンハンドルの場合はDHバー対応かメーカーサイトで確認済みか?
- サドルを前に出すためのシートポストやレールの余裕はあるか?
- 12速105 Di2の場合、レバー交換の予算(約7万円〜)を考慮しているか?
- 近所に安全にポジション出しの練習ができる場所を確保しているか?
※本記事の内容は一般的な情報を基にしております。
機材の取り付けや加工による故障・事故については責任を負いかねますので、最終的な判断は必ず信頼できるプロショップにご相談ください。