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クロスバイクで風を切って遠くまで走ってみたい。
そんな思いを抱いているものの、「ロングライド クロスバイク」というキーワードで検索しながらも、そもそもロングライドとはどれくらいからの距離を指すのか、その定義が気になる方も多いのではないでしょうか。
クロスバイクで長距離はきついのでは?という不安や、走行できる距離の限界、クロスバイクならではの弱点は?といった疑問も尽きませんよね。
この記事では、100kmを余裕で疲れない走り方から、適切な休憩の頻度やカロリー消費の管理、さらには前日の準備や食事は?といった具体的なノウハウまで、網羅的に解説します。
おすすめの車体選び、ツーリング仕様へのカスタム、そしてブルベのような認定イベントへの挑戦についても触れ、あなたのロングライドを全面的にサポートします。
- クロスバイクでのロングライドの可能性と限界がわかる
- 100kmを快適に走るための具体的な準備や装備を学べる
- 走行中の疲労を軽減する走り方や休憩のコツが身につく
- ロングライド向けのカスタムやおすすめモデルがわかる
クロスバイクの基本とロングライドの可能性
目次
- ロングライドとはどれくらいの距離?定義は?
- クロスバイクでの長距離はきつい?
- クロスバイクの弱点は何?
- 走行できる距離の限界は?
- 100kmを余裕で疲れない走り方
ロングライドとはどれくらいの距離?定義は?

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結論から言うと、ロングライドに明確な定義はありません。
走る人の体力や経験によって「長い」と感じる距離は大きく異なるからです。
ただ、一般的には1日で走行する距離が50kmを超えてくると、ロングライドと認識され始めることが多いようです。
そして、多くのサイクリストにとって最初の大きな目標となるのが「100km」という距離です。
100kmを走破することは、スポーツバイクの世界における一つの達成目標であり、自信にもつながります。
一方で、さらに長距離を目指すサイクリストの世界もあります。
例えば、「ブルベ」と呼ばれる認定サイクリングイベントでは、最も短い距離でも200kmからスタートします。
このように、目的や挑戦するステージによって「ロングライド」の尺度は変わりますが、まずは50km、そして100kmを目標に始めてみるのが良いでしょう。
豆知識:ブルベとは?
ブルベはフランス語で「認定」を意味し、指定されたコースを制限時間内に完走することで認定を受ける長距離サイクリングイベントです。速さを競うレースではなく、交通ルールを遵守し、自己責任で走りきるスタイルが特徴です。※ブルべについて後述しています。
クロスバイクでの長距離はきつい?

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「クロスバイクで長距離はきついのではないか?」という疑問は、多くの方が抱く不安だと思います。
確かに、長距離・高速走行に特化したロードバイクと比較すれば、不利な面があるのは事実です。
しかし、適切な準備と走り方をすれば、クロスバイクでも長距離ライドを十分に楽しむことができます。
ロードバイクとの違いを理解し、クロスバイクの特性を活かすことが重要です。
ロードバイクは深い前傾姿勢で空気抵抗を減らしますが、クロスバイクは状態が起きたアップライトな乗車姿勢が基本です。
これにより、高速走行では空気抵抗が大きくなるというデメリットはありますが、広い視野を確保でき、首や腰への負担が少ないという大きなメリットが生まれます。
景色を楽しんだり、リラックスして走ったりするには、むしろクロスバイクの方が適している場面も多いのです。
また、ロードバイクよりも太めのタイヤを装着しているモデルが多いため、乗り心地が良く、路面からの衝撃を和らげてくれるので、身体への負担も軽減されます。
ロードバイク以上に事前の準備や計画を入念に行う必要はありますが、「きつい」と感じることなく、快適なロングライドは決して不可能ではありません。
クロスバイクの弱点は何?

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クロスバイクは街乗りからサイクリングまでこなせる万能選手ですが、ロードバイクと比較した場合、いくつかの弱点、つまり不得意な分野が存在します。
主な弱点は「高速巡航性能」と「本格的なヒルクライム(登坂)」の2つです。
高速巡航性能
前述の通り、クロスバイクはアップライトな乗車姿勢のため、高速域での空気抵抗が大きくなります。
体感としては時速30kmを超えてくると、空気の壁を感じ、速度を維持するのがロードバイクに比べてしんどく感じられるでしょう。
また、フラットバーハンドルのため握れるポジションが限られ、長時間の高速走行では手が疲れやすいという側面もあります。
本格的なヒルクライム
長い坂道や急な坂道を登るヒルクライムも、クロスバイクがやや苦手とする場面です。
多くのクロスバイクはエントリークラスのロードバイクよりも車体が重い傾向にあり、この重量差が登りでは大きなハンデとなります。
もちろん、軽いギアが装備されているため坂道を登ること自体は可能ですが、ロードバイクのような軽快さで駆け上がるのは難しいでしょう。
これらの弱点は、あくまでロードバイクと比較した場合の話です。
レースに出るような速度を求めたり、険しい峠道ばかりを攻めたりするのでなければ、一般的なサイクリングを楽しむ上で大きな問題になることはありません。
クロスバイクとロードバイクの特性を比較すると、以下のようになります。
項目 | クロスバイク | ロードバイク |
---|---|---|
乗車姿勢 | アップライト(状態が起きている) | 前傾姿勢(ドロップハンドル) |
主な用途 | 街乗り、通勤・通学、フィットネス、サイクリング | 長距離サイクリング、高速走行、レース、ヒルクライム |
得意な場面 | 信号の多い街中、未舗装路も含む多様な路面 | 舗装路での高速走行、長距離巡航、登坂 |
苦手な場面 | 高速巡航、本格的なヒルクライム | 段差の多い道、未舗装路、頻繁な乗り降り |
タイヤの太さ | 太め(28c~35cが主流) | 細め(25c~28cが主流) |
走行できる距離の限界は?

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クロスバイクで走行できる距離の限界は、自転車の性能よりも、乗る人の体力や経験、そして事前の準備によって大きく変わります。
極端な話をすれば、自転車という機材そのものには、数百km、数千kmを走破する能力があります。
例えば、マウンテンバイクにテントや寝袋を積んで、20日間で約2000kmの北海道ツーリングを達成したサイクリストもいます。
つまり、機械的な限界は、私たちが考えるよりもはるか先にあるのです。
重要なのは、自分自身の限界を少しずつ押し広げていくことです。
スポーツバイクに乗り慣れていない人が、いきなり100kmに挑戦するのは無謀と言えるでしょう。
まずは短い距離から始め、計画的に走行距離を伸ばしていくトレーニングが不可欠です。
距離を伸ばすためのステップアップ例
いきなり100kmを目指すのではなく、段階的に目標を設定しましょう。
- Step1:20km~30km
まずは近所のサイクリングから。スポーツバイクに慣れることが目的です。これを4~5回繰り返します。 - Step2:50km~70km
半日程度のロングライドに挑戦。ペース配分やお尻の痛さなど、長距離特有の課題が見えてきます。これを3~4回経験します。 - Step3:100km
いよいよ目標の100kmへ。これまでの経験を活かせば、きっと達成できるはずです。
このように、予行練習を重ねることで、自分に必要なペース配分や補給のタイミング、そして何より「長距離を走りきる体力と自信」が身につきます。
限界は自分で作るものではなく、トレーニングによって乗り越えていくものだと考えましょう。
100kmを余裕で疲れない走り方

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100kmという長距離を、ただ走りきるだけでなく「余裕を持って」「疲れずに」達成するためには、いくつかの重要なコツがあります。
力任せにペダルを漕ぐのではなく、いかに体力の消耗を抑えるかが鍵となります。
1. ペース配分を徹底する
最も重要なのがペース配分です。特に走り始めは体力も気力も十分なため、ついついスピードを出しがちですが、これは後半の失速に直結します。
序盤は意識的に「物足りない」と感じるくらいの7~8割程度の力で、リラックスして走りましょう。
帰りの道のりや、終盤の疲労困憊の状態を常に想定し、体力を温存することが完走への一番の近道です。
2. 効率的なペダリングを意識する
ペダルをただ「踏み込む」だけでは、太ももの前の筋肉ばかりが疲れてしまいます。
理想は、ペダルを「回す」という意識です。
踏み込むだけでなく、引き上げる足も使うことで、脚全体の筋肉をバランス良く使うことができ、疲労を分散させられます。
3. 適切なギアを選択する
ペダリングと関連して、ギアの選択も重要です。
重いギアを踏み続けると、脚への負担が大きくなります。
少し軽いと感じるギアを選び、ペダルの回転数(ケイデンス)を一定に保つように心がけましょう。
坂道や向かい風の場面でも、無理せず早めに軽いギアに変えることで、無駄な体力消費を防げます。
4. 乗車姿勢を時々変える
長時間同じ姿勢でいると、お尻や手、腰など特定の場所に負担が集中します。
信号待ちなどで少しお尻をサドルから浮かしたり、ハンドルの握る位置を少し変えたりするだけでも、血流が改善され、痛みの発生を遅らせることができます。
注意:ハンガーノックを避けよう
どんなに走り方が上手でも、エネルギーが枯渇してしまっては走れません。
体内のエネルギーが不足し、急に力が入らなくなる「ハンガーノック」は非常に危険です。
走り方だけでなく、後述する補給計画もセットで考えることが大切です。
快適なロングライド クロスバイクの実現方法
- ロングライド前日の準備と食事は?
- 走行中のカロリー消費と補給
- 適切な休憩の頻度は?
- ツーリング仕様へのカスタム
- 認定イベント「ブルベ」への挑戦
ロングライド前日の準備と食事は?

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ロングライドの成否は、走り出す前日、いや、それ以前の準備段階で大きく左右されます。
万全の準備を整えることで、安心してライドに集中でき、トラブルのリスクを大幅に減らすことができます。
自転車の準備とメンテナンス
出発前に必ず自転車の状態をチェックしましょう。特に重要なのは以下の項目です。
- タイヤの空気圧チェック:空気圧が低いと、少しの段差でパンク(リム打ちパンク)しやすくなります。タイヤの側面に記載されている適正空気圧を確認し、必ずメーター付きの空気入れで調整してください。
- ブレーキの効き:ブレーキレバーを握り、前後輪ともにしっかりと制動するか確認します。
- チェーンの状態:チェーンが汚れていたり、油が切れていたりすると、走行抵抗が増え、ペダリングが重くなります。クリーニングと注油をしておきましょう。
持ち物の準備
長距離ライドでは、予期せぬトラブルに対応できる装備が必須です。
- パンク修理キット:スペアチューブ(2本あると安心)、タイヤレバー、携帯ポンプは三種の神器です。CO2インフレーターもあれば素早く空気を充填できます。
- 携帯工具:ネジの緩みなどに対応できるマルチツールを一つ持っていると安心です。
- ライト類:トンネルや急な天候悪化、日没に備え、前後ライトは必ず装着しましょう。
- スマートフォンとモバイルバッテリー:地図の確認や緊急連絡に不可欠です。
前日の食事:エネルギーを蓄える
走行中のエネルギー源となるグリコーゲンを体内に蓄えるため、前日の夕食と当日の朝食は、炭水化物を中心にしっかりと摂りましょう。
ご飯やパスタ、うどんなど、消化の良いものがおすすめです。
逆に、脂っこい食事や揚げ物は消化に時間がかかり、胃に負担をかける可能性があるので避けた方が無難です。
そして、十分な睡眠をとり、万全の体調で当日の朝を迎えましょう。
走行中のカロリー消費と補給

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ロングライドにおいて、走り方と同じくらい重要なのが「補給」です。
走行中は想像以上にエネルギーと水分を消費しており、これらが枯渇するとパフォーマンスが著しく低下し、最悪の場合は走行不能に陥ります。
カロリー消費の目安
運動強度にもよりますが、サイクリングでは1時間に500kcal前後を消費するといわれています。
100kmを5時間で走ると仮定すると、約2500kcal。
これは成人男性の1日の摂取カロリーに匹敵するほどのエネルギー消費です。
このことからも、走行中のエネルギー補給がいかに重要かが分かります。
補給のタイミングと種類
補給の基本は「お腹が空く前に食べ、喉が渇く前に飲む」ことです。
空腹や喉の渇きを感じた時点では、すでに体はエネルギー不足・水分不足の状態に陥っています。
1時間に1回、または20kmごとなど、時間を決めてこまめに補給する習慣をつけましょう。
ライド中の補給食は、消化が良く、すぐにエネルギーに変わりやすい糖質が中心のものが適しています。
コンビニなどでも手軽に手に入るものとしては、以下のようなものがおすすめです。
- ようかん:脂質が少なく、コンパクトで携帯性に優れています。塩分も補給できるタイプもあります。
- バナナ:消化吸収が早く、カリウムも豊富です。
- エナジージェル:サイクリング用に開発されたもので、効率的にエネルギーを摂取できます。
- あんぱん、お団子:手軽な糖質補給源として優れています。
補給食の定番「スポーツようかん」
井村屋の公式サイトによると、「スポーツようかん」は、運動中に失われがちな塩分も同時に補給でき、コンパクトな形状で走りながらでも食べやすいように工夫されているとのことです。
ロングライドの心強い味方として、多くのサイクリストに愛用されています。(参照:井村屋公式サイト)
水分補給も同様に重要です。
水やお茶だけでなく、汗で失われるミネラルも補給できるスポーツドリンクを準備すると良いでしょう。
適切な休憩の頻度は?

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長距離を走りきるためには、疲労を感じる前に計画的に休憩を取ることが非常に重要です。
頑張って走り続けるよりも、適度な休憩を挟んだ方が結果的に全体のペースを維持でき、安全にライドを終えることができます。
休憩の頻度に決まったルールはありませんが、一般的な目安としては「1時間に5分~10分」または「20km~25kmごと」に一度立ち止まるのがおすすめです。
これはあくまで目安であり、体力の消耗が激しい坂道を登った後や、強い向かい風の中を走った後などは、早めに休憩を取るようにしましょう。
重要なのは、「まだ走れる」と感じているうちに休むことです。
疲労がピークに達してから休んでも、回復に時間がかかってしまいます。
こまめな休憩は、体力の回復だけでなく、集中力を維持し、安全意識を保つ上でも不可欠です。
休憩中にやるべきことリスト
ただ休むだけでなく、休憩時間を有効に活用しましょう。
- 水分・エネルギー補給:次の休憩ポイントまでのエネルギーをチャージします。
- ストレッチ:固まった筋肉をほぐします。特に首、肩、腰、太もも、ふくらはぎなどを軽く伸ばすと効果的です。
- 現在地と先のルートの確認:地図を見て、この先の道のりや次の休憩ポイントを確認します。
無理のない休憩計画を立て、心身ともにリフレッシュしながらゴールを目指しましょう。
ツーリング仕様へのカスタム

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クロスバイクは標準の状態でも十分にサイクリングを楽しめますが、いくつかのパーツを交換・追加する「カスタム」を行うことで、長距離走行の快適性を劇的に向上させることができます。
ここでは、比較的簡単で効果の高いカスタムをご紹介します。
1. グリップの交換
長時間ハンドルを握っていると、手のひらや手首が痛くなることがあります。
これを軽減するのが「エルゴグリップ」です。
手のひらの形状に合わせて設計されており、接地面積が広いため圧力が分散され、しびれや痛みを防ぎます。
最も手軽で効果を実感しやすいカスタムの一つです。
2. サドルの交換
ロングライドで最も多くの人が悩むのが「お尻の痛み」です。
これはサドルが自分の骨格に合っていない場合に起こりやすいです。
クッション性が高いゲル入りのサドルや、中央部に溝があることで圧迫を逃がすサドルなど、様々な種類があります。
こればかりは相性があるので、いろいろ試してみる価値があります。
3. タイヤの交換
タイヤは走りの性格を大きく変えるパーツです。
より軽い走行感を求めるなら、ロードバイクに近い細めのタイヤ(28cなど)に。
乗り心地や安定性を重視するなら、少し太めのタイヤ(32cなど)がおすすめです。
自分の走り方やよく走る路面に合わせて選ぶと良いでしょう。
注意:タイヤ交換時の適合確認
タイヤを交換する際は、自転車のフレームとホイールのリムが、そのタイヤ幅に対応しているかを確認する必要があります。
太すぎるタイヤはフレームに干渉しますし、細すぎるタイヤはリムから外れる危険があります。
不明な場合は、購入した自転車店に相談しましょう。
4. バーエンドバーの装着
フラットハンドルの端に取り付ける「バーエンドバー」も非常に有効なアイテムです。
これを装着することで、ハンドルの握る位置を増やすことができます。
乗車姿勢を少し変えるだけで、同じ筋肉ばかりを使い続けることがなくなり、上半身の疲労を大幅に軽減できます。
認定イベント「ブルベ」への挑戦

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100km、150kmと順調に走行距離を伸ばし、ロングライドに自信がついてきたなら、次のステップとして新たな目標を設定したくなるかもしれません。
そのような方にこそ知っていただきたいのが、長距離サイクリングの世界的な認定イベントである「ブルベ」です。
これは単なる長距離走ではなく、自己の限界に挑戦し、計画性や自己管理能力といった総合力が試される、まさに「冒険サイクリング」とも呼べる奥深い世界への入り口になります。
ブルベとは何か?- 認定を受ける長距離サイクリング
ブルベとはフランス語で「認定」を意味し、その名の通り、規定のコースを制限時間内に自力で完走することで認定を受ける非競争型の長距離サイクリングイベントです。
参加者は「ランドヌール」と呼ばれます。
主催者から提供されるのは、コースを示す地図(キューシート)やGPSデータのみです。
参加者はそれらを頼りに、道中のチェックポイント(PC = Point de Contrôle)を通過しながらゴールを目指します。
サポートカーなどはなく、装備の準備からパンクなどのトラブル対応、補給計画まで、すべてを自分自身で管理しなければなりません。
キューシートとチェックポイント(PC)
キューシートとは、交差点名や目印、そこまでの距離などが記された指示書のことです。
これを頼りにルートを進み、数十kmごとに設置されたコンビニエンスストアなどのチェックポイントに立ち寄ります。
通過した証明として、指定された時刻の入ったレシートを受け取り、ゴールまで大切に保管するのが一般的です。
これは、決められたルートを正しく走破したことの証跡となります。
基本となる距離は200km、300km, 400km, 600kmの4種類で、それぞれに制限時間が設けられています。
この時間は、平均時速約15km/hを基準に設定されており、例えば200kmであれば13時間30分、300kmであれば20時間となります。
決して速いペースではありませんが、休憩や信号待ち、トラブル対応の時間もすべて含まれるため、走り続けるマネジメント能力が求められます。
ブルベの魅力と本質
ブルベは順位やタイムを競うレースではありません。
その本質は、制限時間という制約の中で、自分自身の力と判断を頼りに長大な距離を走りきることにあります。
言ってしまえば、自分自身との対話であり、壮大な冒険です。
ランドヌールを惹きつけるブルベの魅力
- 圧倒的な達成感:数百kmという距離を自力で走りきった時の感動は、何物にも代えがたい経験となります。
- 地域の魅力発見:コースは主催者が設定した選りすぐりのルートです。普段走らないような道や、知らなかった美しい景色に出会う機会も豊富にあります。
- 計画性と自己管理能力の向上:ペース配分、補給計画、体調管理など、すべてを自分で行うため、サイクリストとしての総合力が格段に向上します。
そして、多くのランドヌールが目指す称号に「シューペル・ランドヌール(Super Randonneur)」があります。
これは、同一年に200km, 300km, 400km, 600kmの4つをすべて完走した者に与えられる栄誉であり、ベテランサイクリストの証ともいえるでしょう。
クロスバイクでの挑戦は可能か?
それでは、クロスバイクでブルベに参加することは可能なのでしょうか。
結論から言えば、特に最短距離である200kmであれば、十分に参加は可能です。
ただし、いくつかの課題があることも理解しておく必要があります。
ブルベでは長距離を効率よく走ることが求められるため、多様な乗車姿勢がとれるドロップハンドルを装備したロードバイクやツーリングバイクが主流です。クロスバイクのフラットハンドルは、基本的に一種類の姿勢しかとれないため、長丁場では手首や肩、お尻の特定の部分に疲労が蓄積しやすいというデメリットがあります。
クロスバイクで挑む際の課題と対策
クロスバイクでブルベ完走を目指す場合、以下の点を考慮して対策を講じるのがおすすめです。
- 乗車姿勢の多様化:ハンドルの握る位置を増やせる「バーエンドバー」の装着は、疲労分散に非常に効果的です。これがあるだけで、長距離での快適性が大きく向上します。
- 空気抵抗の軽減:アップライトな姿勢は空気抵抗が大きくなります。無理のない範囲で少し前傾姿勢を意識したり、風の抵抗を受けにくいウェアを選んだりする工夫が有効です。
- タイヤの選定:走行抵抗が少なく、かつ耐久性や乗り心地のバランスが良いタイヤ(28C前後)を選ぶと、体力の消耗を抑えることができます。
もちろん、これまでクロスバイクで100km超のロングライドをこなしてきた経験や体力、そして何より走り慣れた愛車で挑戦できるという安心感は、何よりの強みになります。
100kmの次、さらにその先の目標として、対策を講じたクロスバイクでブルベの世界を覗いてみるのは、非常に価値のある挑戦だと言えるでしょう。
クロスバイクでのロングライドPOINTまとめ

アーバンサイクラー・イメージ
- ロングライドに明確な定義はないが100kmがひとつの目標
- クロスバイクでも準備次第で100km以上の走行は十分可能
- ロードバイクに比べ高速巡航やヒルクライムは苦手
- 限界は自転車の性能より乗り手の体力と経験で決まる
- 序盤はペースを抑え体力を温存するのが完走のコツ
- 前日の食事は消化の良い炭水化物を中心に摂る
- 当日はタイヤの空気圧など基本的な点検を忘れずに
- 走行中は喉が渇く前にこまめな水分補給を心がける
- エネルギー切れを防ぐため1時間ごとの補給食が目安
- 疲労を感じる前に計画的に休憩を取りストレッチを行う
- 手の痛みを軽減するエルゴグリップへの交換は効果的
- サドル交換はお尻の痛みを解消する重要なカスタム
- 目的に合わせタイヤを交換すると走りが大きく変わる
- バーエンドバーの装着で乗車姿勢の自由度が高まる
- ロングライドの目標としてブルベというイベントもある
- この記事を参考にあなたに合った一台を見つけよう